星山厚豪氏とのインタビュ

星山厚豪氏
MW研修生:ステージ②
BIO: 兵庫県姫路市、Yakiniku Houseれんがや勤務。家業のレストランに従事する傍ら、個人としても様々な機関からワインや日本酒に関わる仕事の依頼を受けて活動している。日本ソムリエ協会では理事を務めており、理事で唯一ワインと日本酒両方の教育に携わっている。

マスター・オブ・ワインになった動機を教えていただけますか?

私は2010年からワインの勉強を始め、JSAソムリエエクセレンス、ASIディプロマ、WSETディプロマを始めとした国内で取得できる資格を全て取得しました。しかしながら、マスター・オブ・ワインの方々のお話を聞かせて頂くたびに新しい学びがあり、まだまだ学ぶべきことがあると感じました。また、テイスティングにおいてもこれまでとは違った視点でワインを掘り下げることで、より目の前のワインについての理解を深めることができるとの印象を受けたことです。それに加え、これまでお会いしたマスター・オブ・ワインの方々は優しく、人柄が素晴らしい方ばかりでした。これらの要因から、私ももっと学習を深めてマスター・オブ・ワインの方々のレベルに近づきたいと思ったことが動機です。

オーストラリアは初めてですか?今回の訪問でどのような印象を持ちましたか?

オーストラリアは前回のセミナー、ファーストステージの試験、今年のセミナー、で合計3回の訪問です。今回のマーガレットリヴァートリップには参加させて頂きましたが、基本的にはワイン産地以外ではアデレードの経験以外はほとんどありません。アデレードの印象としては、コンパクトな街でありながら豊かな自然もあり、便利な街もあり、とても過ごしやすい場所だと感じています。また、治安や日本人にとっての居心地といった点も私が訪問した国や町の中で最も良い場所の一つだと感じています。

「Understanding Contemporary Australian Pinot Noir」マスタークラスの印象と、オーストラリアワインへの理解をどのように深めたか教えてください。

マスタークラスでは日本では経験したことのない産地のピノノワールを多数テイスティングすることができ、良い経験でした。また、これらのワインとスピーカーのお話から、オーストラリアワインの現在の姿を垣間見ることができ、理解を深めることができました。

オーストラリアのワイン業界において、特に興味深い、または将来性があると思われる注目すべきトレンドやイノベーションがあれば教えてください。

オーストラリアには長いバックグラウンドを持つ産地と品種の組み合わせがあり、それぞれがポジションを確立しているように感じます。しかし、それだけでなく、代替品種のへのトライアルや、それに合わせたワイン造りの発展という面もとても興味深い分部だと思います。

あなたの意見では、ワインを真に特別なものにするものは何ですか?また、印象に残ったオーストラリアワインの例を教えてください。

ワインを特別にするものは品質と産地の個性だと思っています。現在様々な産地で高品質な飲料が生産されていますが、原材料の産地が飲料の名前になったり、スタイルとして認知される飲料はあまりないように思います。しかしながら、しっかりとした醸造技術をもって高品質なワインづくりをしなければ産地の個性は隠されてしまいます。このような理由から私にとってワインを特別にするものは品質と産地の個性であると思っています。

この度の訪問で印象に残ったワインは、産地と品種の掛け合わせが確立されているものとして、Tolpuddle vineyardsのPinot Noir、Vasse Felix, Cape Mentelle, Leeuwin estateのChardonnayの品質が特に印象に残っています。その他、テイスティングをしたワインの中では代替品種を使用したワインとしてOliver’s TarangaのFianoが印象に残っています。

また、Cullen winesの取り組みとして、バイオダイナミックという分部だけでなく、カーボンニュートラルを早い時期から達成したというのが印象に残っています。

日本の消費者にとって、オーストラリアワインの魅力は何だと思いますか?お勧めのオーストラリアワインのフードペアリングはありますか?

私が訪問して感じたように、日本人にとってオーストラリアは最も親しみやすい国の一つだと思います。また、時差も少ないため、訪問することに対してハードルが最も低いワイン産地の一つであることが大きな魅力だと思います。ワイナリー訪問や、産地の料理、歴史、景観を経験することはワイン愛好家にとって一度は体験したいことではないでしょうか?

おすすめのフードペアリングですが、今回の訪問で初めてカンガルーを経験しましたが、カンガルーステーキとFlametreeのCabernet Suvignon/Malbecの組み合わせがとても良かったです。また、オーストリアのドライエージングビーフステーキと少し熟成したYarra Yering Dry Red No2の組み合わせも月並みですがとても良い相性でした。