2024年4月末にワインオーストラリアは、著名なソムリエ3名を日本よりお迎えいたしました。お迎えしたのは、⽇本ソムリエ協会 常務理事そしてアンダーズ 東京/ホテル虎ノ門ヒルズ 料飲部クラスター エグゼクティブ ソムリエ/ビバレッジ ディレクターの森覚氏、ミシュラン三ツ星レストランL’OSIERのシェフソムリエである井黒卓氏、コンラッド東京のエグゼクティブソムリエ森本美雪氏です。
今回の特別に組まれたツアーでは、各地でテイスティング、地元ワインメーカーとの食事会を通じて、オーストラリアのワイン産地とオーストラリアが生産する多様なワインを直接体験しました。
ビーチワース、キング・ヴァレー、ヤラ・ヴァレー、タスマニアを訪問。旅の最終地点は、メルボルン在住のマスターソムリエである廣瀬有希氏と共に、モーニントン半島のワインを楽しむファインダイニングを体験。全行程で49のワイナリーからの140種類に及ぶワインの紹介という充実した内容になり、各地におけるオーストラリアワインの品質、多様性が示されました。
森覚氏
⽇本ソムリエ協会 常務理事
アンダーズ 東京/ホテル虎ノ門ヒルズ 料飲部クラスター エグゼクティブ ソムリエ/ビバレッジ ディレクター
今回の訪問でこれまで以上にオーストラリアワインの懐の深さや奥行きのようなものを感じることが出来ました。ヴィクトリアを1つとっても多様なスタイルが存在することを身をもって体験し、様々な品種やアプローチ、表現方法があることを知ることが出来ました。また、初めて訪れたタスマニアでは、ブドウやワインのクオリティーの高さ、スパークリングワインの可能性というものをひしひしと感じることが出来ました。
井黒卓氏
ミシュラン三ツ星レストランL’OSIER シェフソムリエ
今回のオーストラリアの旅で学んだことは多岐に渡る。 標高の高さからくる生き生きとしたBeechworthのシャルドネ。Tasmaniaの美しい景観と気候が生み出す高品質なスパークリング。King Valleyのカジュアルさで親しみやすい軽快なワイン。Yarraのピノノワールの品質の高さは知っていたが、改めて現地で飲んで脱帽。そしてどこの産地も若手生産者達の台頭にはとてもワクワクしたし、心から応援したいと思えた。ただもしこの旅のハイライトを一つだけ挙げさせていただくのであれば「ヴィクトリアにおけるイタリア品種の可能性」というところだろう。プロセッコ、フィアーノ、サンジョヴェーゼ、品種を挙げればキリがないが、特にネッビオーロはイタリア以外で育てているという物珍しさという点だけでなく、品質やスタイルにも今後のワイン業界でのポピュラーになる可能性を感じた。もちろん一気に栽培面積が広がるとも思ってない。ただ、よりこういった新しいワインのスタイルが確立、そして認知されていけば、若い世代のソムリエやコンシューマー達が求める『COOLなワイン産地』としてオーストラリア・ワインがより人気を博すのではないかと感じた。今回の旅を通じて知り合えた素晴らしい生産者達、ソムリエ、そしてワインオーストラリアのの方達、特にアテンドしてくれたローズマリーさんには感謝を申し上げたい。ありがとうございます。また訪れる機会がありますように!
森本美雪氏
コンラッド東京エグゼクティブソムリエ
2017年にワーキングホリデービザを使用してオーストラリアでソムリエとして働く機会を得ました。当時からバロッサ、アデレード、ヤラヴァレー、マーガレットリヴァーなどは既に日本でも知られていましたし、自分はある程度オーストラリアワインに精通していると考えていました。実際に働き始めて、自分がオーストラリアワインの“トレンド“について何も知らなかったことを知りました。特にシドニー勤務だったのでじ『ハンターヴァレーをろくに語れずにシドニーで働くべきではなかった』と反省しましたし、ビクトリアのジロング、マセドン・レーンジズ、ベンディゴ…そして今回訪問が叶ったビーチワース。オーストラリアで働く以上、これらの産地を語れない、知らないのは致命的でした。ビーチワース以外の産地は自分がオーストラリアで働いている時に訪問が叶いましたが、ビーチワースだけは行くことが出来なかったので、今回の訪問で私の夢が叶ったわけです。Wine Australiaの皆様…特にRose-san、本当にありがとうございました。
花崗岩のもとシャルドネを植えて、こんなに成功を納めている土地が他にあるのかと聞かれると、ここしかない唯一無二だと感じます。花崗岩のイメージしかなかったですが、実際約半分は赤土土壌であること、訪問前はシャルドネのイメージしかありませんでしたが、ルーサンヌの可能性、ネッビオーロやヴェルディッキオなどのイタリア系品種のポテンシャルの高さを感じることが出来ました。世界にたった2%しか輸出していないこの貴重なワインをもっと日本の、また日本を訪れる海外のお客様へ伝えたいと強く感じました。
ビーチワース以外にも自分の力では行けなかったような様々なワイナリーや産地を訪問出来、Wine Australiaが時間を有益に使えるよう、リージョンを代表するリーディングプロデューサーを集めてくれていて、ランチ・ディナーを生産者と取ることが出来たので、情報を一気に得ることが出来ました。6年前に訪問した時とは、全く異なるトレンド、新しい作り手が沢山現れていて、一度も訪問したことがない新しい体験をさせてもらったような気持ちになりました。
オーストラリアのワインインダストリーに携わっている方は、非常にオープンマインドであり、意見交換が活発なので、ある程度の知名度を得ても、同じ場所にあぐらをかくことが無く、常に新しいことにチャレンジ、よりブラッシュアップしていこうというハングリー精神に溢れているということを今回の訪問で強く感じました。今後もオーストラリアワインの動向から目が離せないと感じました。
ポール・トゥラレ
ワインオーストラリア ゼネラル・マネージャー(マーケティング)
「著名なゲストの皆さまがオーストラリアに来て、多岐に渡るワインを試飲していただけたことは、日本でのオーストラリアワインカテゴリーに利益をもたらし、これらの市場での持続的な需要を築くと信じています。今回の交流は、オーストラリアワインのあまり知られていない側面、進化するスタイル、新しい品種、革新的なワイン醸造技術を紹介する絶好の機会となりました。」